子供はほめて育てるのが良いって聞くけど…本当かな…
具体的にどうやればいいんだろう…
結論からいうと、効果は絶大。しかし注意点がある。という感じです。
以下、教育学的視点から効果と方法と仕組みを更に詳しく解説します。
5分ほどで読めると思うので、どうぞお付き合いください。
「ほめて育てる」の効果は絶大
きちんとやれば、ものすごい効果が出ます。
具体的には、子供について
- 自己肯定感、自己有能感が養われる
- 思いやりが養われる
- 考えて行動できるようになる
- 自らすすんで「望ましい行動」をしてくれるようになる
などが期待できるでしょう。
特に4番目はすごいです。
子供がすすんでお手伝いをしてくれたり、TPOに合わせて行動できるようになったり…!
輝かしい未来はすぐそこです。
では、「ほめて育てる」の正しいやり方を確認していきましょう。
正しいやり方、だめなやり方
じゃあ、実際どうやってほめればいいんじゃい!って話をします。
- 子供がしたことを具体的かつ端的に言う
- それによってどんな「イイこと」が起こったか言う
- ほめ言葉や感謝を言う
例えばこんな感じです。
○○くん、お手伝いしてくれてありがとう!いつもより早く終わって、私すごく助かったよ。
この場合は、
- お手伝い ➡子供がしたこと
- ありがとう ➡感謝
- いつもより早く終わって、私すごく助かった ➡起こったイイこと
という具合です。
次の例も見てみましょう。
○○ちゃん、自分でお片付けしてえらいね。お部屋がきれいだと、気持ちがいいね!
この場合は、
- 自分でお片付け ➡子供がしたこと
- えらい ➡ほめ言葉
- お部屋がきれいだと、気持ちがいい ➡起こったイイこと
という具合になります。
- 心を込めずに言う
- 「いい子だね」「すごいね」「できたね」「ありがとう」などフワッとしたことしか言わない
- 叱らない
大人になってしまった私たちの感覚からすると「ありえない」と思うことですが、子供は褒められたりお礼を言われたりしても、何に対して言われたのかイマイチ分かっていないことがあります。
なんかよくわからんけど褒められたわ。
まあいっか、お遊びの続きしよっと。
せっかく(偶然だとしても)良いことをしたのに、これでは教育の機会をドブに捨てるようなものですよね。
ですから、自分の「どの行動が」「どんなイイことを生んだのか」を明示してあげる必要があります。
また、
「ほめて育てる」は「叱らずに育てる」ではありません。
「ほめる」=「叱らない」
というイメージの方が多いのですが、今回の場合、正しくは
「ほめる」=「行動を強化させる」
です。
この部分は、次の章で解説します。
ちなみに「叱らずに育てる」と同義といえそうのは「諭して育てる」です。
「ほめて育てる」の教育学的しくみ
先述の通り、「ほめて育てる」のカラクリは「叱らない」ことではなく「行動を強化させる」ことです。
ある行動が、その後も繰り返されるようになることを「行動が強化された」といいます。
ここで大切なのは、
行動に価値があると学習すると、行動が強化される
ということです。
例えば、たまたま道で100円玉を拾ったら、そのあと数日くらいは「また落ちてないかな」と路上を気にしてしまう…なんてこと、ありませんか。
私はめちゃくちゃあります。
これはまさに
路上に目をやる(行動) → お金を拾う(価値)
ということを学習し、何気ない行動が価値づけられたために、その行動が強化されているというわけです。
要するに、「ほめて育てる」は上記のメカニズムを悪用したものなんです。
つまり、子供の良い行動をこれでもかと価値づけることで、どんどん強化していこう!ってわけです。
ですから、ただ闇雲に「すごいねー」とほめるのではなく、
- どの行動が
- どんな価値を生んだか
を具体的に、かつ明確に説明する必要があるのです。
ちなみに、100円を拾ったことで路上を気にする行動が強化されたとしても、また連続でお金を拾うなんてことは、そうそうありませんよね。
それで次第に、路上を注視することもなくなっていきます。
これを行動の消去といいます。
ある行動が強化されたとしても、それに対して価値が生まれなくなったと分かると次第にやらなくなるということですね。